放射線測定の基礎知識 初級編               編集、東海アマ管理人 2011年10月5日脱稿  目次  第一章 放射線とは何か  ・・・・・・・・ 3 (1) 自然放射線    ・・・・・・・・ 3 (2) 放射線の種類 ・・・・・・・・ 4  @ ガンマ線  ・・・・・・・・ 4  A ベータ線 ・・・・・・・・ 6  B アルファー線    ・・・・・・・・ 7  C 中性子線 ・・・・・・・・ 8 (3) 放射線の測定機材 ・・・・・・・・ 10  @ ガイガーミュラー計数管 ・・・・・・ 10  A シンチレーション管 ・・・・・・・ 11  B 電離箱        ・・・・・・・ 12  C 比例計数箱 ・・・・・・・ 12  D ポケット線量計 ・・・・・・・ 12  第二章 放射線測定の基礎知識 ・・・・ 13  (1)統計の考え方 ・・・・・・・ 13  (2)平均値と偏差値 ・・・・・・・ 14  (3)測定方法 ・・・・・・・ 16  @ バックグランド ・・・・・・・ 16  A 環境汚染測定 ・・・・・・・ 17  B 土壌汚染測定 ・・・・・・・ 18  C 食品汚染測定 ・・・・・・・ 19 D 内部被曝測定  ・・・・・・・ 19  (4) 測定と生活への応用 ・・・・・・ 20  (5) 測定に使う簡単なBASICプログラム 巻末付録 第三章 単位について    2011年3月11日 東日本大震災によって東京電力福島第一原子力発電所が人類最悪級の放射能放出事故を起こしました。  この影響による長期的な死者について、ECRR(欧州放射線リスク評価委員会)は因果関係のはっきりしたガン・白血病だけで40万人以上が死亡すると予想しています。  ところが、チェルノブイリ被災地で救援活動を続けてきた元名大分子生物学者の河田昌東氏は、原発事故による被曝障害者は因果関係の証明されたものは全体の一割以下にとどまり、大半は原因不明で片付けられると述べています。  広島長崎では直接の被曝がなかった被曝者の二世三世に白血病や遺伝障害が多発し、たくさん死亡しています。遺伝障害は7世代以上続くとも指摘されています。  プルトニウムが、わずか数粒子(ホットパーティクル)で肺ガンや骨腫瘍を起こして人を殺し、その遺体を焼いた粒子が再び人を殺すサイクルが数百万年も続くといわれることを考えれば、原発事故による死者数は数千万、億という天文学的数字になる可能性があります。  放射線は目に見えない、皮膚に感じない、痛くも痒くもない、熱くも寒くもないエネルギー粒子の束ですが、それは人体を貫き、細胞を破壊し、DNAを壊して見える火と同じように人を確実に破壊して異常を起こさせ、殺してゆきます。  しかも、それは数世代後の子孫まで異常が伝わって、人を殺し、異常を起こさせ続けるのです。  未だに戦争や饑餓さえも止められない人類には放射線を扱えるほどの人間性、知的レベルは存在しませんでした。それは「怖いものを持ってるから自分たちに従え」という愚かな脅しの道具として開発されたものでしかありません。  しかし、人類にその恐怖の火は委ねられ、平和利用を口にしながら実際には核武装の目的、「自分たちは偉いんだ」という自己満足のために運転され続けたのです。  こんな人類が、取り返しのつかない、自分たちを滅ぼすしかない原発巨大事故を起こすのは必然的な帰結というしかないのです。我々は、こんな原発を許してきたことで報復を受けているのです。子供たちに永久に返せない莫大な借金を押しつけただけで飽きたらず、命を滅ぼす死の世界をもたらしたのです。  我々は人類史における犯罪者といわねばなりません。しかし、今も子供たちが生きています。生き残るであろう子供たちのために、我々は少しでも安全で住みやすい社会を用意してあげながら死んでゆくしかないと思います。  見えない放射線を知るためには、特殊な装置を利用するしかありません。食べ物や飲料水、空気に忍び込んだ放射線の害を避けるためには、われわれ一人一人が、それを詳しく知り、測定器を持って計り、知恵を絞って被曝を避けなければなりません。  このパンフレットは、主婦や一般人に、放射線に関する基礎的な知識を伝えて、身を守ることに役立てるようまとめました。やさしく書いたつもりですが、中学高校程度の基礎教養が必要な内容になっています。 第一章 【放射線とは何か?】  放射線とよばれる現象は、私たちの宇宙を構成している物質の根源、原子・素粒子が高いエネルギー状態に置かれ(励起状態)、高いところにある水が流れて低いところに移るように、余分なエネルギーを放出して安定した状態(基底状態)に戻ろうとする現象です。  放射線を出す能力を『放射能』と呼びます。放射能は『放射性物質』の代名詞にもなっていて、放射線が出てくる物質を放射能と呼ぶことが普通になっています。  放射性物質、つまり放射能のことを『放射性同位体』(ラジオアイソトープ)と呼ぶこともありますが、ラジオアイソトープ(RI)には放射線を出さないものも含まれます。  『放射線』は、放射能から出てくるエネルギー粒子のことを言います。  エネルギーの粒である放射線には、たくさんの種類と寿命があります。テレビでよく聞くガンマ線やベータ線などから、聞いたこともない陽電子やニュートリノなどまで数十種類もあり、毎日、私たちの体を突き抜けています。しかし、その多くが生物に害をもたらす可能性があることを知っておく必要があります。  原発事故がなくとも、私たちは日常的に放射線を浴びています。どのような放射線かというと、宇宙線や大地、植物や動物の体内に含まれた放射線です。  種類として覚えておく必要があるのは 1:ガンマ線 2:ベータ線 3:アルファ線 4:中性子線 で、他にも陽電子・陽子・反陽子・原子核片・ニュートリノなどたくさんの粒子が放射線として存在しますが、福島事故の被曝で関係するのは上の四種類だけと思って差し支えありません。  (1)『自然放射線』  例えば、宇宙からは一年で300マイクロシーベルト(毎時0.03マイクロシーベルト)の放射線が我々を襲ってきます。宇宙線の正体は、原子破片や陽子、電子などで、大気などと衝突してさまざまな放射線に変化し、何に被曝するのか分かりにくい性質があります。  この数年、太陽風(CME)と呼ばれる宇宙線が激増していて、被曝量が非常に大きくなっているとの指摘もあります。  花崗岩に含まれているウランなどから気体のラドン222が出ていて、コンクリートの建物に花崗岩砂として入っていますから、石造・コンクリート構造物からや、呼吸・地面からの被曝を合わせて一年700マイクロシーベルトほど浴びています。  食物中にもカリウム40という放射線があって年に400マイクロシーベルトほど。日本に生きているだけで宇宙線や環境放射線、飲食呼吸などから一年で1500マイクロシーベルト(1.5ミリシーベルト)ほどの自然被曝があります。  自然被曝は居住地によって大きな差があり、関東東北は少なく、中部西日本は多い傾向があります。理由は関東ローム層が放射線を遮断すること。中部西日本では放射能の含まれた花崗岩が多いことなどです。また茅野市や清里などの高地では宇宙線の影響が大きくなります。  飛行機に乗ると高空で激しい被曝を受けることも覚えてください。妊婦は長時間、飛行機に乗ってはいけないのです。  今回の福島放射能事故によって、福島県では自然放射線の10〜100倍の人工放射線を浴びさせられる地域になってしまいました。  そもそも人類はラドンやカリウム40など自然放射線のなかで数百万年も進化を遂げていて、おそらく体が適応しているとも言われていますが、わずか60年ほどの歴史しかない人工放射線は、エネルギーも性質も違うため適応はなく、まともに被曝障害を受けて病気になると考えられます。  ラドン温泉はあってもセシウムやプルトニウムの温泉などありえません。自然放射線でさえ安全性が証明されておらず、原発からの人工放射線は確実に有害と認識されています。 (2)『放射線の種類』  @ガンマ線  この正体は光の粒(光子)であり、エックス線と同じものです。正しく言えば光であり同時に波(電磁波)でもあります。ガンマ線と普通の光や電波はまったく違うものに思えますが、実は同じものです。違いはエネルギーと周波数、波長しかありません。  人工的に作られたガンマ線をエックス線と呼びます。放射能から出てきた光の粒をガンマ線と呼びます。 いわゆる放射能、放射性同位体(アイソトープ)は不安定な状態であって、安定しようとしてガンマ線やベータ線、アルファ線などが出てきます。  ウランやカリウム40などは宇宙生成期の不安定な状態が産み出したラジオアイソトープで、寿命が極端に長いため、いまだに安定しようとして放射線を出し続けているわけです。  また、高いエネルギー(励起状態)の原子から出る光の粒(光子)もガンマ線と考えてよいものが多いのですが、核種によってエネルギーに違いがあります。  ガンマ線という場合、注意していただきたいのは、原発事故で一番たくさん出てくるセシウム137は本当はベータ線しか出しません。しかし普通、ガンマ線を出す核種と認識されています。  この秘密は、セシウム137がベータ線を出してバリウム137m(mは励起を示す)に変わり、これがガンマ線を出しながらバリウム137になるのです。ですから実質、セシウム137はベータ線とガンマ線を出す核種と言われています。  このようにエネルギーを出しながら核種が変化することを『放射性崩壊→壊変』と呼び、元の核種を『親核種』、壊変後核種を『娘核種』と呼んでいます。  強いガンマ線を出す核種で有名なのは、ラジウム226やコバルト60、セシウム137、イリジウム192などですが、原発事故で環境で計測されるガンマ線のほとんどは、セシウム137から出ていると思ってください。   福島事故では、原子炉で核分裂を起こしてる最中の超高エネルギー状態の原子が大量に飛散したため、放出された『死の灰』が強大なガンマ線(光子)を出しました。放出された大量の放射能が青く光り輝いていたのは、この励起エネルギーが光っていたのです。  大熊町で発見された放射能汚染遺体も夜間、光って見えたとの噂があります。フクイチライブカメラでも、周囲にたくさんの光が見えていましたが、これらは空間原子の励起によるものです。ガンマ線自体は目に見えませんが、そのエネルギーで周囲の原子を励起し光らせるのです。  セシウム137の娘核種、バリウム137mから強力なガンマ線が放射され空間を光らせます。他にも、たくさんの核種が励起された状態で青く光っていました。この光にはガンマ線もエネルギーの小さな励起光も含まれています。  核燃料のウランが分裂して、ちょうど半分くらいの原子に分かれた核分裂生成物も、多くが非常に不安定な状態に置かれていて、安定するため放射線を出し続けます。  セシウム137は半減期30年といわれますが、実際にはベータ線やガンマ線を百年以上も放射し続けます。1グラムのセシウム137が、ほとんど放射線を出さなくなるまで300年以上かかります。ですから高度汚染地帯は300年間居住不能を覚悟しなければなりません。  粒子がエネルギーが高い不安定な状態に置かれた場合『励起』と呼び、安定した『基底』状態に戻ろうとして光や放射線を放出しながら別の核種に変わり、次々と変化し、最後は放射線を出さない安定した非放射能原子になってゆきます。  励起状態でない安定した核種でも『放射能』を持つ同位体がたくさんあって、これらも放射線を出しながら、より安定した原子に変化してゆきます。  励起と放射能は同じではないことに注意してください。しかし両方とも不安定な状態でエネルギーを光や放射粒子の形で出すわけです。  光は粒子であるとともに波動の性質があって、光子は同時に電磁波の性質を持っています。電磁波と光子、光と放射線はすべて本質で同じものです。周波数やエネルギーが違うだけと覚えてください。  波長の短い順番に、ガンマ線・エックス線・紫外線・可視光線・赤外線・電波 これらは、すべて同じ光の粒です。違いはエネルギー状態、波長にあります。波長の短いもの、振動数の多いものほどエネルギーが高く、他の物質にぶつかって激しい作用を起こします。  人体に損傷を与える波長は紫外線より短いもので、物質を透過する能力も高くなります。紫外線より波長の短い、エネルギーの強い光の粒が『光子放射線』で「ガンマ線・エックス線」と呼んでいます。それより長い波長は普通の『光』や赤外線、電波などです。  ガンマ線の特徴は、非常に透過力が強く、例えばセシウム137のガンマ線では20ミリの鉄でも6割程度しか遮蔽されません。完全に止めるためには100ミリの厚さが必要です。  ですから、この放射線は人体を外側から通過し、途中の細胞を被曝させ破壊します。これは体外被曝の主役になります。しかし、ミリシーベルト毎時クラスの被曝は非常に危険ですが、数マイクロシーベルト毎時程度で長期間居住するのでなければ、それほど恐れる必要はありません。ただし、胎児や子供は別で、こんな環境にいては死んでしまいます。  ガンマ線外部被曝で、おおむね3000ミリシーベルト(3グレイ→300ラド)を超えると死者が出始めるとの報告があります。7000ミリシーベルトでは全員死亡します。10ミリ毎時の場所に十日以上も生活していると、おそらく死ぬ人が出てきます。胎児が死亡するのは、もっとはるかに低い線量と思われます。  原発由来のコバルト60やセシウム137のガンマ線を完全に遮蔽するためには、厚さ1m近いコンクリートや10センチ近い鉄や鉛の遮蔽が必要になります。高価な遮蔽箱は厚さ10センチの鉛が使用されています。  ガンマ線を検知する機械は、GM管やシンチレーター、電離箱などです。使用法については別項で説明します。  A ベータ線  ベータ線は電子と同じものです。古いテレビのブラウン管には「電子銃」があって、高エネルギーのベータ線(電子線)が流れていました。  普通は放射能から出る電子線をベータ線と呼び、人工的に作られるものを電子線と呼んでいますが、まったく同じ電子です。  マイナス電気を持っていて(プラス電気の陽電子線もあります)、エネルギーの高い原子核から弾けて飛んできます。普通に使ってる電気器具を流れる電子とは比べものにならないほど強大なエネルギーを持っていて細胞を破壊する作用が強いものです。  ガンマ線は数百メートルも飛びますが、ベータ線の飛距離は長くとも数メートルです。しかし電荷がありますから生体内の電気的代謝に強く関与し、染色体を破壊してガンの原因を作ります。  細胞に対しても激しい破壊作用があり『ベータ線熱傷』と呼ばれる治りにくい深刻な火傷を引き起こす怖いものです。内部被曝で怖いのはガンマ線よりもベータ線・アルファ線だと覚えてください。食品汚染の場合も、ガンマ線よりベータ線の汚染を問題にします。  原発由来の放射能でいえば、ヨウ素131、セシウム137やストロンチウム90から出てきて体内に蓄積されやすく、被曝障害の大きな原因になる悪玉です。   http://www.mikage.to/radiation/beta_range.html  ここで注意しなければならないのは、テレビブラウン管で被曝の注意を教えられたことがあると思いますが、これは中で飛んでいる電子(ベータ線)が問題ではなく、その電子が出すエックス線が問題なのでした。  実は、電子線(ベータ線)が高いエネルギーで飛んでいるとき、強い電荷(クーロン力)が近くにあって、引き寄せられてコースが曲がると持っている直進エネルギーの一部が前方に飛び出してエックス線として真っ直ぐ放射されます。  トラックが急ブレーキ・急カーブを切ると荷物が前方に飛んでゆくのと同じ理屈です。  ベータ線しか出さないストロンチウム90を、そのまま鉄や鉛で覆うと、そこからエックス線が出てきます。これもベータ線が重い金属に衝突して急ブレーキがかかったためにエックス線を出したのです。黒点フレア爆発に伴う太陽風の主役は電子線や陽子線ですが、これらが地球大気に衝突してもエックス線が出てきます。  電子が飛んで急に制動をかけられたり急カーブしたりするとエックス線が出てきます。これを『制動エックス線』と呼んでいて、鉄や鉛の遮蔽箱のなかにセシウム放射能を置いておくとベータ線が壁にぶつかってエックス線を出してしまうので、必ず計測時に制動X線防止用プラスチック遮蔽板を置いています。遮蔽箱の中にあるプラスチック容器がそれです。  実は、診療用エックス線、レントゲンの原理も同じで、超高電圧の電子銃を使って電子を飛ばし、途中に強力なプラス電荷を近づけて強引に進路を曲げ、持っていた光子エネルギーを前方に飛び出させると、これがエックス線になる仕組みです。  これらは、街中の高圧線から飛ぶ電子でも同じメカニズムですから、高圧線の近くでは絶えず電子線(放射能ベータ線とほとんどエネルギーが変わらない)が地面に向けて飛んでいて、しかもエックス線も出て周辺の人を被曝させていることを知っておく必要があります。  高圧線の近くで居住してはいけません。白血病になるリスクが高いと報告されています。  強大なベータ線が出る場所では、遮蔽するのに10ミリほどのプラスチック板を置きますが、原発由来のセシウムベータ線は3ミリ程度のアクリル板でほとんど遮蔽できます。ガンマ線とベータ線を分離測定する場合、必ずベータ線を遮蔽できるプラスチックやアルミの板を挟まなければなりません。  この厚さを変えることによって、GM管でもエネルギーから核種が分かることがあります。GM計数管によるベータ核種検出法を「フェザー法」と呼んでいます。  ベータ線の測定は、主にGM管によって行います。電気的性質からGM管がベータ線をほぼ10割近く計数することができます。ただし数が多すぎると「窒息」という現象で、急に感度が悪くなることがあります。  GM計数管、サーベイメータのなかには検出口にプラスチック板が張ってあり、アルファ線やベータ線が検出できないものもあります。正確に検出するためにはGM窓がマイカ(雲母)で作られているものを選ぶ必要がありますが、そうすると今度は落としたときの衝撃に弱くなります。落としても壊れないGM管ではベータ線やアルファ線を計数できません。  ベータ線はセシウム137やヨウ素131、ストロンチウム90など原発放射能被曝の主役になります。これらは呼吸や飲食から人体に取り込まれて、血管内などをベータ線で激しく攻撃し、心筋梗塞やリンパ白血球不全、ガンや白血病を引き起こす主役になります。  食品汚染を計測するときは、ガンマ線よりベータ線汚染の方を重視しなければなりません。  B アルファ線  アルファ線はヘリウム原子核と同じものです。ガンマ線やベータ線に比べて極端に大きく(7000倍)重いため、空間を飛んだり物質を突き抜ける能力は小さいのですが、持っているエネルギーは強大で、人体の内部に入ると強烈な損傷を与えます。  人体への危険を示す放射線単位を『線量当量』(単位はシーベルト)と呼びますが、吸収熱量を基準にした物理線量は『吸収線量』(単位グレイ)です。何が違うかというと、人体への影響の度合、『線質係数』によって補正したものが線量当量シーベルトです。  ガンマ線の場合、1グレイ=1シーベルトで、ベータ線も同じです。ところがアルファ線の場合、線質の補正係数が20倍にもなり、1グレイ=20シーベルトにもなるのです。  ですから原子炉事故によって大量のアルファ線核種が出るのですが、公的機関はガンマ線だけを計った危険度を公表していて、ウランやプルトニウムなどのアルファ線をまったく計測していません。これらの含まれた放射線の危険度は20倍になること。本当のシーベルト値は公表値より大幅に増えることを知ってください。  アルファ線を出す核種は、それほど多くありません。自然界ではウラン鉱石や、そこから出るラドン、ラジウム、などの崩壊によって発生します。しかし福島原発事故では、自然界に存在しない膨大な量のアルファ線核種が環境に放出されてしまい、人類が地球上で生き延びてゆくための大きな脅威になってしまいました。  なかでもプルトニウムのアルファ線は宇宙でも最大級のエネルギーで、寿命も数万年以上、まさに「地獄の王プルート」にふさわしいものです。これによってプルトニウムは「地上最強の毒物」との称号を得ています。先の線質係数でいえば、実際には20でなく200以上にもなると指摘する学者もいます。  アルファ線は水中では1 ミリ未満しか進めません。空中でも10ミリくらいしか飛べません。紙1枚でも止めることができます。ですからアルファ線被曝によって影響が現れるのは、呼吸や飲食によって入った体内被曝のみと考えてもよいでしょう。  しかしアルファ線核種が超ウラン元素に多いため、体内に入ると重金属の性質から骨などに移行しやすく、骨ガンの重大な原因になることが多いのです。また呼吸から肺に入ると肺ガンの原因になります。  アルファ線の問題はベータ線の二倍の電荷があり、弱い電気的結合で成り立っている細胞をベータ線同様、電気的に破壊することです。エネルギーは非常に強力で、移動も少なく、その周辺の細胞はまともに破壊され消えてゆきますが、遺伝子を破壊された細胞は異常な状態のまま増殖しガンを発症する可能性が強いのです。その潜伏期間は20年程度と考えられています。  測定はマイカ式の計数窓を持ったGM管やアルファ線専用の測定器が必要です。核種を推定するにはスペクトラマというエネルギー分析機などを使用しますが、簡単ではありません。  ガンマ線の計測は計測器のスイッチを入れるだけですが、アルファ線の計測は非常に面倒です。潰したり灰にしたりの長い面倒な手順と専門知識が必要なため、公的機関でもアルファ線の計測、核種確定を行っているところは少ないのが実態です。  マイカ式GM計数管なら、セロテープ一枚でアルファ線量を知ることができますが、核種まで分かりません。しかし、それがあるということはウランや超ウラン元素のプルトニウムやポロニウム、アメリシウムといった非常に危険な元素があるこをを意味していて、重大な危険があると認識できます。  なお、アルファ線は簡単に遮蔽されてしまうため、正確な線量を知るためにはアルファ線用標準線源が必要になります。  食品に含まれるプルトニウムなどの検出は、普通の機材では不可能です。数千万円程度の専用機材が必要になります。遮蔽箱を使っても食品アルファー線汚染は、まず検出できません。できるほどのレベルなら、核燃料に匹敵するほど危険と思ってください。 C 中性子線  中性子は原子核を構成する基本物質で、電荷を持たないため他の物質との電気的相互作用(クーロン力)がなく、非常に透過性が強い性質を持っています。  例えば、福島第一原発で核反応が起きて中性子が放射されると、それは周囲の物質を透過しながら2キロ以上も飛ぶと言われています。  通り抜けるだけだから有害性がないかといえば、実は極端に危険なものです。その理由は、中性子が他の原子核にぶつかると潜り込んで別の核種に変わり、しかも励起されて放射性核種になる性質があるからです。  例えば、原子炉の構造鉄が中性子を浴びると非常に強いガンマ線を出すコバルト60に変わります。このため原子炉を止めても設備には強大な放射線が残ります。  中性子を浴びた人は、人体そのものが放射能になってしまうのです。その被曝は凄まじく悲惨なものになります。詳しく知りたい方はネットで東海村臨界事故を調べてみてください。 フクイチで核分裂再臨界が大規模に起きれば中性子が大量に放射されるため、フクイチ周辺数キロメートルは誰も近づけなくなり現場は放棄するしかなくなります。  昔、中性子爆弾が「人だけを殺すクリーン爆弾」として開発されたことがありますが、実用化されない理由は、使われた現場が強い放射能を帯びて立ち入れなくなってしまうからでした。  中性子の寿命は約15分程度しかありません。だから中性子発生源の近くでなければ被曝の心配はありません。東京で中性子を計っている人がいますが、ほとんど無意味なことです。それが検出されるのは東京の上空で核爆発が起きたときくらいでしょう。  中性子発生源とは核分裂を起こしている核燃料であり、プルトニウム(偶数核種)など一部の超ウラン元素です。ウラン235からも中性子が出てきます。しかし計測装置に記録できるのは、ごくまれにしかありません。  中性子はベータ線を出して陽子に変わってゆきます。陽子に変わると電気力によって、すぐに他の物質に捕まり飛べなくなります。ですから核原料の核分裂が止まれば、中性子もすぐに消えてしまいます。  中性子は水や厚いコンクリート等で遮蔽できますが、もの凄く透過性が強いため、厚さ10m以上のプールが必要になります。ガンマ線は重さに比例して遮蔽度が上がりますが、中性子は重さではなく、同じくらいの重さを持つ原子核と衝突する『弾性散乱』によって遮蔽されます。ぶつかっているうちにベータ線を放出して陽子や電子に変わります。  中性子を遮蔽する能力の強い物質は、水やプラスチック、生物体有機物、ベリリウム、ハフニウム、ホウ素などです。逆に言うと、これらの物質は中性子が潜り込んで核転換しやすく、人間の場合は危険な被曝を起こすことになります。  中性子の被曝が非常に危険なものというのは線質係数からも分かります。エネルギーによって差がありますが、中性子の線質補正は10〜20です。ガンマ線の20倍危険と思ってください。  しかし、検出器を持っていても、反応を目にすることはほとんどありません。原子炉の近くに行けば多少は出ると思いますが、都内で中性子がたくさん確認できたら数時間後に命はないものと思ってください。  中性子は核分裂の主役です。ウラン235、プルトニウム239など核分裂を起こしやすい原子に当たると、簡単に潜り込んで分裂を起こして大きなエネルギーを発生します。  原爆も原子炉も、中性子なくしてエネルギーは出せません。核原料に一定の密度以上の中性子が作用すると核分裂が始まります。このとき効率よく中性子密度を高めるため、反射剤として水やベリリウム、ハフニウムなどが使用されます。いったん核分裂が始まると、中性子も際限なく増えて放射されるようになります。  今、福島第一の原子炉から溶け落ちて地中に潜っている核燃料も、何らかの原因(例えば水素爆発による爆縮)によって核分裂(再臨界)や核爆発を起こす可能性があることを知っておいてください。 (3)放射線の測定機材  @ ガイガーミュラー計数管  GM管と呼ばれるもので、もっとも古くから登場し、一般的に出回っている計機です。原理は封じ込められたハロゲンなどの気体に電圧をかけておき、ガンマ線やベータ線が飛び込むと一部の電子が電離され、それが雪崩のように拡大して大きなパルス電流を作りカウントするものです。  すでに検知器の王座をシンチレーション式に明け渡していますが、丈夫で使いやすい優れた検知器だと思います。しかしシンチ式や半導体式が安価になるにつれて市場から消えてゆく運命です。日本では唯一、浜松フォトが製造していたのが数年前に廃止され、今ではアメリカかフランス、ロシアしか作っていません。  電気的機器ですから電気に関係する特性があって、エネルギーレベルによって感度が大きく異なります。ガンマ線に対しては、それほど感度が高くありません。エネルギー依存性が強いため、ガンマ線の正しい値は難しいと知ってください。計数効率は数%程度でしょう。  ところがベータ線に対する感度は非常に高くなります。GM管はガンマ線も計れるベータ線測定器と考えてください。ただし、放射線量が増えると計数飽和(窒息)という現象を起こして急に感度が悪くなります。数百カウント毎分までは、ほぼ100%近い計数効率があります。  ですから、GM管は「クセのある天才児」ということもできるでしょう。  マイカ式(雲母)計数窓を持つものは、ガンマ線・ベータ線・アルファ線を計れます。しかし、正確な計数ができるのはベータ線だけです。アルファ線も検出効率は100%ですが、マイカ窓に遮蔽される分が多いため正確ではありません。  ベータ線が計れる機種でも、測定窓がマイカ以外では遮蔽される可能性があります。測定方法はベータ線・アルファ線を遮蔽しながら分離測定し、差し引いた計数ということになります。  GM管における1カウント(パルス)は、放射線の種類に関係なく、計数管に飛び込んだ一個の電離放射線に対応します。したがって電離しない中性子への感度はありません。  通常は毎分あたりの全パルス数をCPMとして表示、これを補正係数約120で割った値が毎時あたりのマイクロシーベルトとして表示されます。  GM式放射線検知器を使用するときの注意  市販されているサーベイメータの大半が、セシウム137とコバルト60で汚染されていると仮定した補正を行っています。このためCPM(毎分あたりの放射線数)は正しいが、線量率表示は必ずしも正しい値ではありません。  通常、GMサーベイのシーベルト表示は、CPM÷120〜125(補正係数)程度がマイクロシーベルト毎時として表示されます。これがもしアルファ線を計っていたら線質計数から20倍の表示になるはずですが、そんな補正はしていなくて、あくまでもセシウム汚染を前提にしているので正しい値とは限らないのです。   おおむね1m程度の空間で測定すれば、かなり正しい値が表示されます。しかし原発放射能汚染地の地表に置いた場合、ベータ線を大量に拾うため線量率が大幅に上がります。ベータ線の飛距離が1m程度なので1m空間ではベータ線が届かずガンマ線主体に計数されることになります。  実際の被曝障害はガンマ線よりもベータ線内部被曝が問題になるため、地表の汚染を知るためには必ず地表線量を計測する必要があります。行政が空間の高い位置でガンマ線だけを計測した値を公表しているのは欺瞞というしかありません。被曝する子供たちは地表に近い位置で活動するからです。  地表線量の場合もCPM(毎分パルスカウント)を使用すれば正しい値になり、シーベルト表記は誤差が大きいのです。空間では逆にベータ線を正しく計れない。地表線量と両方計ることが大切です。  このとき、地表でアクリル板ケースに入れて測定すればガンマ線だけが計測され、差引すれば正しいベータ線量が分かります。これで汚染核種もおおざっぱに推定できるわけです。  可能ならばGM計測器はCPMとシーベルト毎時の両方が表記されるものが望ましいと思います。また食品などの汚染を測定する場合、測定数値が累積して毎分平均が表記されるものが望ましい。測定時間と回数によって測定値のバラツキを収束させることができるからです。  ただし累積式表記のものは、検査対象を変えるとき必ずリセットが必要になることを忘れないでください。  ベータ線とアルファ線を計るためにはマイカ窓式GM計を使用します。通常のプラスチック窓GM計ではベータ線の値が正確に出てきません。アルファ線を計るときは検体に直接、検出窓を密着させるしかないのですが、汚染の可能性があるため、なるべくアルファ線専用測定器を利用した方がいいと思います。  なおマイカ窓式は検知窓が雲母で作られているため脆くて壊れやすく、取り扱いに注意を要します。窓が汚染されると清掃が困難なため、口径の小さなものはセロテープなどでバリアを作るとよいと思います。  落としただけで雲母が割れてしまうことがあり、大切に取り扱ってください。修理代はシンチ式ほど高額にならないが数万円はかかります。  A シンチレーション計数管  放射線を浴びると蛍光を発する物質があります。ウランが有名ですが沃化ナトリウムや沃化リチウムなど化合物もたくさんあります。この性質を利用して、光電増幅装置をつけて光をカウントすればシンチレーション計数管ができます。  シンチレーション式の長所は非常に感度が高いということです。一時はGM管に変わって測定器の王座についていましたが、より感度の高い半導体検知器に座を明け渡しています。  かつてシンチレーション計数管はデリケートで壊れやすく、いったん壊れると10万円近い高額の修理費がかかるため一般には普及しにくかったのですが、壊れにくいプラスチックシンチが開発され、現場ではGM管以上に使われているようです。  ほとんどのシンチ方式ではアルファ線が計れません。ベータ線測定も困難で、普通はガンマ線だけを計測するタイプが多いようです。  ガンマ線検出感度は最高クラスですが、ベータ線感度はGM方式に劣ります。このため使い分けることが多いようです。  シンチ方式もGM同様、エネルギーによって感度が異なり、かなりいびつな感度曲線があってプログラム補正が必要になります。やはりセシウム137やコバルト60汚染を前提に補正してあるものが多いようです。  B 電離箱  電離箱は初期の放射線測定に使われたGM管・比例計数管の原形になったものです。  エネルギー依存性が少なく、感度が素直に比例しているため、ほとんどの電離粒子を計測でき、しかも補正をあまり必要としない優れた検知器ですが、感度が劣るためGMに取って代わられていました。しかし近年、電子設計が進歩して感度が向上したため、素直な特性を生かして復活しています。またGM管よりも大きな線量を計れます。  アロカの製品では20ミリシーベルト毎時あたりまで計測可能です。GMは最大でも10ミリ程度だと思います。小型GMサーベイでは、普通、数十マイクロシーベルトしか計れません。  中性子以外の放射線をエネルギーとともに計測できますが、大きくて高価なため一般には普及していません。  C 比例計数管  ちょうど電離箱とGM管の中間に位置するのが比例計数管です。この計器も放射線のエネルギーが測定できます。感度はGMに劣ります。大きいのと、やや複雑なため一般には普及していません。   D ポケット線量計 放射能の測定や放射線業務の被爆管理などに用いられるもので、福島県が全学童に携帯させて「安全管理」するとしているものです。もちろん個人の被曝量が少し分かる程度で、所持すれば安全なはずがありません。これによって情報利益を得るのは、放射線被曝研究を行っている者だけです。  福島県は線量が見えず、結果も一切教えない線量計を与えているので、せっかく線量計をつけても安全管理には何一つ役立たないようになっています。  最近ではプラスチックやガラス線量計、半導体線量計を使うことが多いようです。原発構内ではGM式の警報が鳴るポケット線量計を携帯させることになっています。 第二章 【放射線測定の基礎知識】 (1) 統計の考え方  放射線は偶然の法則に支配されています。毎秒100ベクレルの放射線が出るとされる物体でも、いつでも100ベクレル出るわけではありません。毎秒10ベクレルだったり200ベクレルだったりするわけで、長時間測定を繰り返して平均をとると毎秒100ベクレルになるということです。これを「大数の法則」と呼んでいます。  無限回数、放射線を測定し毎分平均を求めると仮定するなら、環境が変わらないかぎり一定に定まった値が得られるはずで、これを「真の値」と考えます。  真の値に対して、これを計測して出現する他の値がどれくらいばらついているかが「偏差」になります。  一定の条件でたくさん計数し、得られた値をグラフにプロットしてゆくと釣り鐘状のグラフになり、これを「ポアソン分布」と呼んで、放射線が偶然の法則に支配された「確率的事象」であることを証明するものになります。このデータを一定の規則で整理「正規化」すれば「正規分布」となります。この場合は美しく定まったベル曲線になります。  もし、期待されるはずの分布が得られなければ、測定方法に問題があったり、測定試料以外に放射線が出ていたり、測定器械が壊れているなどトラブルが判明することになりますから、この原理を生かして、測定器械の精度や測定方法の問題を浮かび上がらせることができます。  何回計測すれば「真の値」が得られるか? というと、実は厳密に言えば、無限に近づくことができても真の値は永久に得られません。しかし百分の一の精度、つまり99%の確度で真の値を得ようとするなら、母数である百の二乗、一万回測定すれば得られることになります。  現実問題として、正しい値を得るのに、そんな膨大な努力は品質過剰ですから、適当なところで妥協しなければなりません。  必要とする精度・確度は測定の目的によって異なります。例えば環境放射線の測定で、厳密な値は必要ありません。測定確度よりも機器の信頼性や測定条件の変動要素が大きいため、いたずらに測定回数を増やすのは無意味です。  公園の空間線量を計るなら、一箇所で3回程度計れば十分だと思います。そのなかで、一つだけ飛び抜けた値が出たら、これを異常値(外れ値)と呼んで排除し、もう一度計り直し、よく近似した三個の値を平均して、その場所の線量としましょう。このやり方を「中央値方式」と呼びます。  しかし、汚染を疑う食品の検査では、ある程度の信頼性が必要ですから、測定値のバラツキを減らし、たくさん計測して平均を出せば信頼される値が出てきます。  公的機関では、測定誤差が大きくて間違った値を出せば賠償問題にもなりかねませんから、誤差はせいぜい数ベクレル、1%程度に抑える測定品質が求められます。このためには数千万円もする計測器で数時間も計測することがあります。  測定誤差を減らすためには、測定時間と回数を増やせばよいのです。しかし増やしすぎても骨折り損のくたびれもうけ、無意味な品質であって、目的に応じた適切で合理的な測定品質を考えなければなりません。 (2)平均値と偏差値  標準偏差は測定値のバラツキを見るのに都合の良い値です。精度の高い高価で優秀な機器では偏差が小さくなり、GM管の小さな機種では精度は低くなります。偏差つまりバラツキの少ない測定器で検査すれば、真の値に早く近づくことができます。  検体を10回測定したら 0・13・6・9・15・11・7・19・11・8 CPMが出ました。この平均をとると(0+13+6+9+15+11+7+19+11+8)=9.9CPMになります。   一見、これで、たくさんの測定をして真の値に近い数値が出たかのように見えます。しかし問題があります。まず最初の0という値は不自然です。計測装置にはスイッチを入れて数分、電気的な関係で値が安定しないものがあります。この0は機器の異常の可能性が強いと考え、全体に影響を及ぼさないよう切り捨ててしまいましょう。  また19という妙に多い値も突発的な宇宙線を拾ったのかもしれません。検体の自然な数値には少し問題と思われるので、これも切り捨てましょう。  こうした異常値のことを『外れ値』と呼んで予測しにくい測定条件の変動が多い現場検査では、外れ値を除外して平均をとった方が正しい値に近くなることが多いのです。これを『中央値方式』と呼んでいます。    測量などでも同じ考え方をします。本来なら大きく外れた値が出るはずのない測量で、原因不明の外れ値が出たら、やり直すか原則これを除外し、よく揃ったデータを選んで平均を取ります。  「外れ値」を除外すると測定値は8個、13・6・9・15・11・7・11・8になり、平均は80÷8=10CPM となります  これで標準偏差の計算をしましょう。 これは平均からの離れ具合、バラツキ具合を数値化するものです。  最初の13は10から3離れていて、これを二乗した値を全部足して回数で割ったものが「分散値」で、この平方根が「標準偏差」です。  (13−10)の二乗は9、(6−10)の二乗は16というように平均との差を二乗して足して行くと 9+16+1+25+1+9+1+4=66  これを回数で割ったものが分散値、66÷8=8.25 分散値の平方根が「標準偏差」 √8.25=2.87  この意味は全測定値のバラツキのうちの大半、68%がこのなかに入るということで、10CPMプラスマイナス2.87の標準偏差    測定回数を無限に増やすと、きれいな釣り鐘状分布のグラフが描けて、この中央頂点が真の値になります。この場合は、たぶん10に近い値が出るでしょうが絶対正確な値はなく、あくまでも近似値です。  標準偏差でデータを整理すると、中央値、真の値がさらに近くなります。  計測器の性能や測定方法の確かさ、技術的精度などを見る場合、この数字で評価することになります。同じ検体を測定しても経験深い技術者が高級な(計数容量の大きな)測定器を使うと標準偏差の値はずいぶん小さくなります。いいかえればデータがばらつかない。真の値に近いわけです。  具体的に求める偏差値が定まっているわけでなく、それは用途、目的に応じて自分たちで選ばなければなりません。  ここに測定値を簡単に計算する初歩的BASICプログラムを書いておきます。ネットでN88BASICをダウンロードしてコピーペーストでプログラムして利用してください。  精度の考え方  我々が食品測定を行う場合、自分の身を守るために、どの程度の精度で測定が必要かを十分考える必要があり、目標精度を設定することで無駄な作業を減らせます。  すべての飲食物を厳重厳密に検査していたのでは大変な負担になります。政府が率先して放射能汚染を拡大している状況では、あらゆるものの汚染が拡大し、とても検査が追いつきません。  そこで精度の高い厳密な検査測定より、むしろ本当に必要な検査を迅速に行う方が、より我々の健康を守ることに貢献できるのではないでしょうか?  それでも汚染による健康被害が懸念されるなら、もはや、そこは居住すべき環境ではありません。安全地域に移住、逃げ出すべきなのです。  現実問題として私はキロあたり50ベクレル精度を提唱します。  というのも、実は食品の多くにはカリウム40という自然放射能が含まれ、キロ当たり野菜類が50ベクレル前後、玄米がキロ75ベクレル、甘藷では150ベクレル、黒砂糖では330ベクレルという値が出ます。他に炭素同位体も含まれます。  そこで、この含有誤差も10ベクレル以上あると考えられ、測定誤差、その他の誤差を含めて50ベクレル以上の精度を求めても獲得が難しいという事情があります。  とりあえず、私たちが、今から食べる食品が安全か危険かとの判断をするのに、カリウム40の放射線量を差し引いた値で50ベクレル以上確認された場合、危険と判断して食べないという考え方がよいように思います。  ガンマ線を50%カットできる遮蔽箱を利用して、通常のGMサーベイで10分程度、BG(バックグランド線量)と検体を計測した場合、汚染を疑う土壌や食品であってもBGとの差分は、わずか1から2CPM程度しかありません。  おおむね1CPMの差分で100ベクレル程度になります。ですから2CPMの差分が出たら汚染と判定というような使い方になるわけです。この場合の誤差も50ベクレル以上あります。  文科相のシンチサーベイを利用した遮蔽箱を使わない簡易食品測定では、検体中に測定プローブを差し込んで測定、BGより2割測定値が大きければ「汚染」と判定するとしています。  遮蔽箱を使えば精度は二倍になり、1割測定値が大きければ汚染と判定できることになります。  食品の場合、遮蔽なしで差分が測定可能なほどなら重大汚染で、食べる以前の問題です。BGを半分以上遮蔽可能な遮蔽箱を利用しない限り、BG変動に埋もれて、まず検体測定は不可能と思ってください。    (3)測定方法  @バックグランド  放射線を測定するのに一番重要なことは、環境にある放射線値を正しく調べ、それを検査対象から差し引くことです。  通常の環境測定はバックグランドそのものが検査対象ですが、水や食品、土壌などのサンプルを測定する場合、バックグランドを差し引かねば正しい値が出ません。しかし、これが大変なことで、ほとんどの場合、バックグランド→BG を遮蔽しなければ事実上測定は不可能です。  高性能のプローブ(測定筒)式シンチレーション測定器を使っても、例えばキャベツを測定するとき、真ん中に穴を開けてプローブを差し込み、十分以上測定して環境BGを差し引きますが、おおむね2割以上の差がないと汚染は分かりません。  例え内部にプローブを入れても外部のガンマ線が透過して計測されるからです。  そこで、外部の邪魔な線量を遮蔽すれば検体の放射線量だけが測定できます。現実に外部線量を100%近く遮蔽するためには10センチ程度の鉛容器が必要ですが、数百キロにもなってしまうため、BGを半分以上遮蔽できる2センチ程度の厚さのある鉄製箱内で計測すれば、かなり良好な検体測定が可能です。  遮蔽せずに計測しても、宇宙線や放射能汚染の影響でBGが高くなっている場合、変動差に埋もれて検体との明確な線量差が分かりにくいのです。  例えば200ベクレルの線量だと分かってる検体を小型の環境サーベイGM計で測定しても、毎分カウント数CPMでいうと、BGとの差はわずか1〜2カウントしかありません。もし遮蔽箱を使わなければ、これはほとんど検知できない差です。  ガンマ線に感度の高いシンチレーション式を使えば、精度の良い測定が可能です。  バックグランドは宇宙線の影響で大きく変化します。それで、食品検査の場合は毎回BGを測定しなおすことさえ普通です。  これまで関東地方は火山灰ローム層の影響でBGが0.03マイクログレイほどしかなく、安定していて遮蔽箱も不要なほどでしたが、福島放射能が関東を広く汚染したため、今では検体を検査するとき遮蔽箱が不可欠になりました。  BG測定は、普通、検体の二倍くらいの時間をかけます。検体10分ならBGは20分ですが、急ぎの検査では一度計って数回は省略してもかまいません。どれだけ計れば正しい値が出るかは定まっていません。目的と必要に応じて自分で判断する必要があります。  しかし食品の場合、数回程度では正しい値は困難で、最低10分、10回CPM程度は計りましょう。これで自家用のおおざっぱな汚染判定が可能です。  これでBG差分が10カウント毎分もあればベータ線核種による大変な汚染と思ってください。  公的機関の検査で精度が悪いと訴訟にもなりかねませんから、普通は数時間、数ベクレル精度まで検査するところが多いようです。    A 環境放射線測定  環境放射線測定は、測定器を持っているほとんどの人が毎日行っていることです。  この注意点は  1: GM管もシンチ管もスイッチを入れた立ち上がりに誤差が出ることが多い。だからスイッチを入れたまま数分間置いてから計測を始めること。  2: 環境放射線は厳密な測定条件が得られないため、高い品質の検査は必要ありません。場所を数センチ移動しただけで変化するため、おおざっぱな測定値で十分です。  3: それでも機器のトラブルや測定方法の問題が結果を左右する可能性があるため、一箇所につき最低三回は計測しましょう。このとき異常値(外れ値)が出れば捨てて、もう一度計測し、三回の平均値をとれば、それがその地点の環境放射線量です。  4: 同じ環境放射線でも検体測定のBGを計るときは最低10回、できれば20回(毎分)計測し、平均値を出しましょう。平均値の扱いは「外れ値」を切り捨てます。  5: 環境放射線は毎日変化し、ときには数分おきに大きく変化することさえあります。また数センチ移動しただけで変化します。これは場所の汚染具合や太陽活動による宇宙線、風で飛散するセシウム微粒子のせいと考えられます。  必ず測定値を記録し、同じ地点での長い推移のグラフを作ることで、大いに役立つ資料となります。  6: GMサーベイを使う場合、仮に地面がセシウム137で汚染されているとすると、ベータ線が大量に出ています。ところがセシウムベータ線の飛距離は1m程度ですから1m空間にはほとんど届きません。ガンマ線だけを計測することになります。  だから1m以上の空間線量は、その地点のガンマ線線量です。正確にガンマ線だけを計測するためには必ずプラスチック製遮蔽箱に入れて計測します。  GM管を地面に置けば地表線量ですが、これはセシウム137のベータ線に対して非常に高感度のため計数率が大幅に上がります。つまり1mと地表との計測数の差で、その場所がセシウム汚染されていることが分かるわけです。  地表でも3ミリ以上厚プラスチックで遮蔽すればガンマ線量が分かるので差し引きすれば、その地点のベータ線量が正確に分かります。ただしGM管はマイカ窓式でないと正確ではありません。 7: このガンマ線・ベータ線比から、あるていど汚染の質が推定できます。セシウム137の場合は三倍近い差が出ます。しかし花崗岩のラドンなどでは、ほとんど線量が変わりません。汚染のない地域では線量の差はほとんど出ません。  B 土壌汚染測定  1: セシウムの降下した土壌を測定する場合、最初に行うことは、検体を採取する場所の空間1mと地表の環境線量を測定記録することです。  可能なら、GPSで経緯度を秒単位まで記録しましょう。検体は紛れないようにビニール袋に二重に入れて表面にシールを貼って採集場所を記録します。おおむね一箇所、500グラムくらいでよいと思います。  2: 次に、これを食品検査用の検査装置で計測しますが、汚染の心配があるので必ずビニール袋を密閉してください。ただし、これによってアルファー線が遮蔽されてしまうことを頭に入れておいてください。アルファー線を分離測定するときは、袋に入れることはできません。  食品汚染検査装置で検出される汚染値は、キロあたりのベクレル数になります。普通の食品用はガンマ線シンチレーション測定器が多く、ベータ線はほとんど検出できません。それでもセシウム137汚染を前提にした補正モードがあるはずなので大丈夫です。  3: 食品用検査装置が無い場合、遮蔽箱を利用します。遮蔽箱のBGを計測して、内部で10分以上計測し差引が測定値になりますが注意が必要です。  ビニール袋に入れたまま、測定器の検出口を袋に密着させます。これでマイカ窓型ならベータ線・ガンマ線混合を計測できます。アルファ線はビニールに遮蔽されます。  ガンマ線だけを測定する場合、3ミリ以上のアクリル板を間に挟みます。差引で正確なベータ線量を把握するために必要な計測です。  遮蔽箱でのBG差分が2カウントあれば、土壌汚染はキロ数百ベクレル以上と考えてください。10カウント差なら、その土地の農産物を食べてはいけません。 4: http://ax00.web.fc2.com/ このページでおおざっぱなベータ線汚染量が計算できます。私の薦めているマイカ窓式GM測定器 KH-LND712 では機種インスペクター、GM内径9.8ミリ、密着でも検体距離5ミリに設定します。  この結果はキロ重量あたりベクレル値でなく面積あたりベクレル値です。換算すればキロ当たりも出ますが不正確で便宜的手法と考えてください。 5: これまでの例では、土壌がキロ当たり数千ベクレルも出れば明確な放射能汚染で、そこで栽培された野菜も必ず汚染されると思ってください。  土壌汚染の調査は、その地域の作物が安全かの重要な指標です。近所の畑では必ず調べていただきたいと思います。 6: 地表線量も重要な目安です。空間1mと大きな差のある場合、ほぼセシウム汚染と断定できます。おおむね0.3マイクロシーベルト毎時が計測される土地では、ほぼ数千ベクレルの汚染が出てきます。  飯舘村の土を食品用検査装置で計測したところ、キロ14000ベクレル前後が出ていました。こんなところで栽培した食物を食べるのは自殺行為です。 C 食品汚染測定 1: 食品汚染測定も土壌と同じようにします。  この場合は、相当に厳密性が必要になります。例えば芋を測定するとして、皮を除いた状態と皮付きのまま。そのままの姿と切り刻んだ姿、加熱調理した姿、ペーストにした姿、ミキサーにかけた姿、乾燥と元のまま、それぞれ同じ量を計測しても数百ベクレルの差が出てきます。  これでは測定精度ががた落ちです。そこで測定条件を一定にすることが必要です。  シンチレーション式食品汚染測定器を利用する場合、原則、細かく裁断したりミキサーにかけたペースト状にして円筒形の計測用プラスチック容器を利用します。  可能な限り重さや姿を同じにして測定条件を揃える必要があります。野菜は裁断しミキサーにかけた方が正確な値が出ます。また、落花生の殻や栗の皮など食べられない部分は除去してから計測しましょう。野菜も食べない部分を一緒に入れる必要はありません。 2: 食品測定で、一番問題になるのが、元々自然に含まれているカリウム40です。これは結構ガンマ線が強いので測定器が計数するため、結果から差し引く必要があるのです。  ここに、おおよその目安が出ています。厳密には食品に含まれるカリウム総量のうち0.0117%が放射性カリウム40と思ってください。 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-04-04  するめ、鰹節、小豆、黒砂糖など数百ベクレルも含まれるため、セシウム汚染と誤解する人が多いのですが、自然放射線について大きな害は報告されていません。 3: 米や野菜の場合、キロ50ベクレルほどあります。この測定誤差も10ベクレル以上あると思ってください。ですから新米から100ベクレル検出されたとしても、現実問題として深刻に受け止める必要はないと思います。  数百ベクレルも検出される地域は、すべての食品が汚染されていると思って移住するしかありません。  遮蔽箱で無汚染米を測定しても、BG差分は1カウント毎分ほどなら自然です。差分が数カウントも出れば汚染と考え、食べるのをやめて精密な検査に回しましょう。  D 内部被曝測定  すでに体内に入ってしまった放射能を検出するにはホールボディカウンターという大きな装置が必要になります。これは厚い鉛で遮蔽された1トン以上もある機械で、体内からのガンマ線をシンチレーション計で計ります。  しかし自分で体内汚染を調べたい方は、ガンマ線に感度の高いプローブ式シンチレーションサーベイを使って計ることもできます。  細身のプローブを体内に挿入してBGとの差分を計りますが、ほとんどの場合、BGの変動に邪魔されて正確な値は出ないと思ってください。  それでも体内が1万ベクレル以上も汚染されている人は多少数値が上がると思われます。セシウムは筋肉に一様に分布しますが、心臓や生殖腺付近にたくさん集まると言われるので、腸や膣内の線量が上がる可能性はあります。  しかし、正確な測定は不可能で、やはり病院へ行ってホールボディカウンターで計るしかありません。  (4)測定と生活への活用  東京電力福島第一原発事故の放射能汚染は、みなさんが想像しているより千倍も恐ろしい結果を招くと私は思っています。  放射能の9割以上は、3月の季節風によって太平洋に流れ出て海を汚染しました。偏西風に寄ってカナダやアメリカ東海岸を汚染し、事故以降、東海岸の死産率が35%上がったとの報告もあります。カナダの山中でも福島と変わらないマイクロシーベルト級汚染が報告されています。  これらの本当の影響は、長い時間を経て出てきます。数ヶ月ではなく数年であり、数十年、数百数千年にもわたると思ってください。  10月になれば、事故時3ヶ月齢胎児で被曝した人が出生してきます。たぶん恐ろしい事態になるでしょう。人の口に戸は立てられませんから、政府や東電が隠蔽しようとしても情報化時代の今、あっというまに拡散してゆくことでしょう。  そうなれば、安全で影響は出ないとウソを言って誤魔化してきた分だけ民衆は激怒し、もの凄いパニックが起きると予想しています。  今の私たちにできることは、放射能汚染に対して国民の安全を守る意志が見えず、事故を小さく矮小化することだけに腐心する政府を信用して従うことでは、もちろんありません。  政府は事故を軽く見せかけて、まだ原発を海外に売ると表明しているのです。これは人道に対する犯罪であり、ナチズムにも匹敵する極悪非道です。しかし、我々は、そんな日本国に住んでいるのです。  そこで、我々は自分で自分の身を守らねばなりません。  政府が汚染食品の流通を止めるどころか検査さえもしないため、自分の食べるものを自分で検査するしかないのです。  とりあえずできることは、放射線測定器を手に入れることです。高価で精密な高級機は必要ありません。私は、ベータ線やアルファ線も測定できる、この機械を推薦しています。   http://geiger.grupo.jp/free35041 これが45000円、遮蔽箱も45000円くらいです。   http://geiger.grupo.jp/free36814 これが一番安価なセットだと思います。  この放射線測定教書は、この測定器を利用することを前提に書きました。今後、私が初歩的な測定講習会を行うときのテキストにするためです。  ただし、お断りしておきますが、この測定セットで精密な値は出ません。誤差は100ベクレルにもなると思います。仮に200ベクレルの汚染検体を、この装置で計測するとBG差分は2カウント毎分くらいしか出ません。だから当然誤差が大きくなります。  より誤差の少ない正確な食品測定をするために70万円の、この機械も用意してあります。  http://geiger.grupo.jp/free36166  この装置でも誤差は20ベクレルくらい出ます。簡易、便宜的に計れば50ベクレルの誤差は普通だと思ってください。  しかし、大ざっぱに汚染の有無が分かります。食べてよいものとダメなものの区別は可能です。私たちは大学の研究員ではありませんから、実用上はそれで十分なのです。  このセットで、購入した食品が汚染されているケースが増えてきたら、そのときは土地を離れて安全な場所に移住するサインだと思ってください。 (5) 付録 一番簡単なN88BASICを利用した測定のための簡単なプログラム  測定の計算をパソコンで行いましょう。平均値と標準偏差を出す簡単なプログラムを作りました。入力ミスなどには対応していません。   http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/prog/se055956.html  このページからN88BASICがダウンロードできます。WIN95用ですがVISTA32BITは大丈夫でした。プログラミングページに以下のテキストをコピーして貼り付ければ、すぐに使えると思います。 10 '放射線のカウントと平均値 分散値 標準偏差 20 clear:cls 30 input " 計測数を入力してください "; cu 40 DIM da(cu),he(cu),bu(cu),hy(cu) 50 ' 計測値の入力 60 print "計測値を一つずつ入力しましょう” 70 for i=1 to cu 80 print "第" ;i; "回目" ; :input da(i) 90 next i 100 ' 平均値の算出 110 FOR I=1 TO cu 120 h1=h1+da(i) 130 NEXT I 140 print "総計数"; h1 : h2=h1/cu 150 print "平均値は " ;h2; "です" 160 ' 標準偏差の計算 170 for i=1 to cu 180 bu(i)=(da(i)-h2)*(da(i)-h2) : print "平均値から差引を二乗した値は " ; da(i); "→" ;bu(i) : h3=h3+bu(i) 190 next i 200 h4=h3/cu 210 print "値の総和を測定回数で割った分散値 ";h4 220 h5=sqr(h4) 230 print "標準偏差→分散値を平方したもの ";h5 300 end       放射線の単位 【環境放射線を計測する場合の単位】  GMカウンターで空間や地表の線量を計測すると、多くの場合SV/h (シーベルト毎時)やcpmという表示がされていますが、この意味は以下の通りです @ CPM  cpm(カウント・パー・ミニット)毎分あたり放射線検知器に入射する放射線の個数です。放射線の種類には無関係でガンマ線でも宇宙線でもアルファ線でも同じ。計器がカウントした数を毎分で集計したものです。 A シーベルト(Sv)  放射線が人体に与える影響を示す放射線量で『被曝線量当量』と言います。シーベルトは人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位です。吸収線量(単位、グレイ)に放射線の種類ごとに定めた補正係数を乗じて算出する『等価線量→線量当量』と、影響する体の部分ごとへの影響にもとづいて定めた定数を乗じて算出する『部分実効線量』が定められています。  大ざっぱにグレイ≒シーベルトと考えて差し支えありませんが、ガンマ線・エックス線にしか適用されません  一般の人が浴びる放射線量の限度は、自然の放射線やエックス線などの医療用を除き年1ミリシーベルト→これを毎時の値に直すと  1000(μSv)÷365÷24=0.114 マイクロシーベルト毎時  ここで必ず覚えておかねばならないことは、これはガンマ線の値ということです。  実は、シーベルト、つまり「生物被曝影響線量当量」には補正係数→放射線種加重計数というものがあって、ガンマ線・ベータ線が1、アルファ線が20、中性子線がエネルギーに応じて10〜20の補正係数を掛けねばなりません。  したがってアルファ線を測定して0.1μsv/hと表示されても、実際には20倍の2μsv/hになることを覚えてください。この場合 1Sv/h≒1Gy/h ではありません。  GM管が計測するのは本当はCPM値です。これをセシウム137やコバルト60で汚染されてると仮定して補正した値がμSv/h です。  普通のサーベイメータはGM管内径が10ミリ程度のものが多いのですが、この場合、CPMを補正係数120〜125程度で割った値がシーベルトで表示されています。アルファ線を測定する補正はまったくありません。  外部プローブ式はGM管内径が50ミリ以上と大きいので、CPMも大きく補正係数もまったく異なります。正しい値は標準線源を用いて定めます。  【関係する単位についての基礎知識】  20年ほど前、IAEAやICRPなど放射線関連国際機関は、突然、それまで長年使われてきたラド・レム・キュリーの放射線単位を変えてしまいました。変えた理由は「国際単位系への移行」と言っていますが、おそらく放射線の情報について一般の人に分かりにくくすることで隠したいという意図が働いていたとように思えます。 @ グレイ(Gy)  →1グレイ=100ラド=100レントゲン≒(ガンマ線・エックス線に限って)1シーベルト=100レム  これは物理的な吸収線量の値。物質に吸収される放射線のエネルギー。1キログラムの物質が1ジュールのエネルギーを吸収したとき1グレイ。  1 rad = 100エルグ毎グラム (erg/g) 今はグレイを用いる。1ラドは、物質1キログラム (kg) あたり0.01ジュール (J) のエネルギーを吸収したときの吸収線量。1 rad = 0.01グレイ (Gy) = 0.01ジュール毎キログラム (J/kg)   1ラドは0.01J/kgに相当し、国際単位系では吸収線量はグレイ (Gy) で表す。1グレイ = 100ラドに相当 A ベクレル  放射性物質が放射線を出す能力(放射能)の強さを表す。崩壊する原子数を数えて、1秒間にどれだけの放射線を出すか。毎秒1個崩壊すると1ベクレルと呼ぶ。  ウランの放射能を発見し1903年のノーベル物理学賞を受賞したフランスのA・H・ベクレルにちなんで命名された。人体にもカリウムなどの放射性物質が含まれ、体重60キログラムの人では7000ベクレルに相当する。  ベクレルは1秒間に放射線を出す回数。国際単位系では、放射能の単位にはベクレル(Bq)を用いる。以前はキュリーを使っていた。1キュリーは3.7×1010ベクレル A レントゲン  照射した放射線の総量(照射線量)を表す古い形式の単位。空気中にX線ないしはγ線を照射すると原子がイオン化される。イオン電荷の総量を計測し、電荷の計測区画に含まれる空気の質量で割った値である。1レントゲンは0℃、1気圧の空気中で、2.58×10-4クーロン/kgの電離を発生させる照射線量。 この単位は国際単位系(SI)に採用されず、日本では1989年4月の国際単位系への切り替え以降使われなくなった。 B 単位換算表  物理学の単位は、千倍ごとに呼称(接頭語)が変わります。  放射線で使われる単位は、ピコ(P)・ナノ(n)・マイクロ (μ)・ミリ(m)・標準単位・キロ(k)・メガ(M)・ギガ(G)テラ(T)などです 、10の整数乗倍を示す接頭語を付けて大きい量や小さい量を表現します。 標準単位から1000倍(10の3乗倍)ずつ大きくなって、キロ・メガ・ギガ・テラ・ペタ・エクサ・ゼタ・ロタ。  1/1000がミリ、以下1/1000(10のマイナス3乗倍)ずつ小さくなって マイクロ、ナノ、ピコ、ファムト、アト、ゼプト、ロクト(デカ・ヘクト・デシ・センチなどの値は混乱を招くため普通は使われません)   今、サーベイメータに 0.15マイクロシーベルト毎時と表示されると、これは150ナノ毎時、150000ピコ毎時、0.00015ミリ毎時、0.00000015シーベルト毎時になります。  なお線量率の単位は時間もありますから騙されないよう十分気をつけてください。サーベイは毎時あたりシーベルト値と毎分あたりCPM値を表示します。ベクレルは毎秒あたりの放射線量です。1年365日、日24時間、分60秒の単位をいつでも換算しておく必要があります。   C ガンマ線エックス線の線量はは距離の二乗に反比例する  ガンマ線=エックス線 は、大気による遮蔽減衰を考えない場合、距離の二乗に反比例して線量が減少することも覚えてください。これは幾何学的性質によります。一点から周囲に放射されるとして一定距離における球体の表面に当たる単位あたりの線量を考えると、距離の二乗に反比例して減少します。  毎時1グレイの放射線源(1Gy/h)は通常1m離れた場所での線量値です。これが10センチだと 1mの二乗(1):0.1mの二乗(0.01)=1:X と比例式にします。  するとX=0.01 反比例ですから、この逆数 100グレイ毎時 になります  放射線源に近寄ると、どれほど大変なことになるかお分かりですか。毎時1グレイの線源に抱きつくと数分で死んでしまいます。  逆に、10m離れると、1mの二乗:10mの二乗=1:X と比例式を考えます  X= 100÷1 =100 この逆数 0.01グレイ毎時が線量率になります  たった10m離れると毎時10ミリに減ります。  これがガンマ線の性質です。実際には、これに空気による遮蔽も含まれるので、100mほど離れると、ほとんど影響がなくなるわけです。  この性質が測定にも大きく影響します。福島事故後、政府や自治体が行った空間線量の測定は、放射線の積もった地表から数十mも離れた場所での測定ですから、ほとんど無意味なものでした。またベータ線の飛距離は数メートル、アルファ線は数センチです。それ以上離れた場所で計測しても無意味と知っておいてください。        放射線の単位 【環境放射線を計測する場合の単位】  GMカウンターで空間や地表の線量を計測すると、多くの場合SV/h (シーベルト毎時)やcpmという表示がされていますが、この意味は以下の通りです @ CPM  cpm(カウント・パー・ミニット)毎分あたり放射線検知器に入射する放射線の個数です。放射線の種類には無関係でガンマ線でも宇宙線でもアルファ線でも同じ。計器がカウントした数を毎分で集計したものです。 A シーベルト(Sv)  放射線が人体に与える影響を示す放射線量で『被曝線量当量』と言います。シーベルトは人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位です。吸収線量(単位、グレイ)に放射線の種類ごとに定めた補正係数を乗じて算出する『等価線量→線量当量』と、影響する体の部分ごとへの影響にもとづいて定めた定数を乗じて算出する『部分実効線量』が定められています。  大ざっぱにグレイ≒シーベルトと考えて差し支えありませんが、ガンマ線・エックス線にしか適用されません  一般の人が浴びる放射線量の限度は、自然の放射線やエックス線などの医療用を除き年1ミリシーベルト→これを毎時の値に直すと  1000(μSv)÷365÷24=0.114 マイクロシーベルト毎時  ここで必ず覚えておかねばならないことは、これはガンマ線の値ということです。  実は、シーベルト、つまり「生物被曝影響線量当量」には補正係数→放射線種加重計数というものがあって、ガンマ線・ベータ線が1、アルファ線が20、中性子線がエネルギーに応じて10〜20の補正係数を掛けねばなりません。  したがってアルファ線を測定して0.1μsv/hと表示されても、実際には20倍の2μsv/hになることを覚えてください。この場合 1Sv/h≒1Gy/h ではありません。  GM管が計測するのは本当はCPM値です。これをセシウム137やコバルト60で汚染されてると仮定して補正した値がμSv/h です。  普通のサーベイメータはGM管内径が10ミリ程度のものが多いのですが、この場合、CPMを補正係数120〜125程度で割った値がシーベルトで表示されています。アルファ線を測定する補正はまったくありません。  外部プローブ式はGM管内径が50ミリ以上と大きいので、CPMも大きく補正係数もまったく異なります。正しい値は標準線源を用いて定めます。  【関係する単位についての基礎知識】  20年ほど前、IAEAやICRPなど放射線関連国際機関は、突然、それまで長年使われてきたラド・レム・キュリーの放射線単位を変えてしまいました。変えた理由は「国際単位系への移行」と言っていますが、おそらく放射線の情報について一般の人に分かりにくくすることで隠したいという意図が働いていたとように思えます。 @ グレイ(Gy)  →1グレイ=100ラド=100レントゲン≒(ガンマ線・エックス線に限って)1シーベルト=100レム  これは物理的な吸収線量の値。物質に吸収される放射線のエネルギー。1キログラムの物質が1ジュールのエネルギーを吸収したとき1グレイ。  1 rad = 100エルグ毎グラム (erg/g) 今はグレイを用いる。1ラドは、物質1キログラム (kg) あたり0.01ジュール (J) のエネルギーを吸収したときの吸収線量。1 rad = 0.01グレイ (Gy) = 0.01ジュール毎キログラム (J/kg)   1ラドは0.01J/kgに相当し、国際単位系では吸収線量はグレイ (Gy) で表す。1グレイ = 100ラドに相当 A ベクレル  放射性物質が放射線を出す能力(放射能)の強さを表す。崩壊する原子数を数えて、1秒間にどれだけの放射線を出すか。毎秒1個崩壊すると1ベクレルと呼ぶ。  ウランの放射能を発見し1903年のノーベル物理学賞を受賞したフランスのA・H・ベクレルにちなんで命名された。人体にもカリウムなどの放射性物質が含まれ、体重60キログラムの人では7000ベクレルに相当する。  ベクレルは1秒間に放射線を出す回数。国際単位系では、放射能の単位にはベクレル(Bq)を用いる。以前はキュリーを使っていた。1キュリーは3.7×1010ベクレル A レントゲン  照射した放射線の総量(照射線量)を表す古い形式の単位。空気中にX線ないしはγ線を照射すると原子がイオン化される。イオン電荷の総量を計測し、電荷の計測区画に含まれる空気の質量で割った値である。1レントゲンは0℃、1気圧の空気中で、2.58×10-4クーロン/kgの電離を発生させる照射線量。 この単位は国際単位系(SI)に採用されず、日本では1989年4月の国際単位系への切り替え以降使われなくなった。 B 単位換算表  物理学の単位は、千倍ごとに呼称(接頭語)が変わります。  放射線で使われる単位は、ピコ(P)・ナノ(n)・マイクロ (μ)・ミリ(m)・標準単位・キロ(k)・メガ(M)・ギガ(G)テラ(T)などです 、10の整数乗倍を示す接頭語を付けて大きい量や小さい量を表現します。 標準単位から1000倍(10の3乗倍)ずつ大きくなって、キロ・メガ・ギガ・テラ・ペタ・エクサ・ゼタ・ロタ。  1/1000がミリ、以下1/1000(10のマイナス3乗倍)ずつ小さくなって マイクロ、ナノ、ピコ、ファムト、アト、ゼプト、ロクト(デカ・ヘクト・デシ・センチなどの値は混乱を招くため普通は使われません)   今、サーベイメータに 0.15マイクロシーベルト毎時と表示されると、これは150ナノ毎時、150000ピコ毎時、0.00015ミリ毎時、0.00000015シーベルト毎時になります。  なお線量率の単位は時間もありますから騙されないよう十分気をつけてください。サーベイは毎時あたりシーベルト値と毎分あたりCPM値を表示します。ベクレルは毎秒あたりの放射線量です。1年365日、日24時間、分60秒の単位をいつでも換算しておく必要があります。   C ガンマ線エックス線の線量はは距離の二乗に反比例する  ガンマ線=エックス線 は、大気による遮蔽減衰を考えない場合、距離の二乗に反比例して線量が減少することも覚えてください。これは幾何学的性質によります。一点から周囲に放射されるとして一定距離における球体の表面に当たる単位あたりの線量を考えると、距離の二乗に反比例して減少します。  毎時1グレイの放射線源(1Gy/h)は通常1m離れた場所での線量値です。これが10センチだと 1mの二乗(1):0.1mの二乗(0.01)=1:X と比例式にします。  するとX=0.01 反比例ですから、この逆数 100グレイ毎時 になります  放射線源に近寄ると、どれほど大変なことになるかお分かりですか。毎時1グレイの線源に抱きつくと数分で死んでしまいます。  逆に、10m離れると、1mの二乗:10mの二乗=1:X と比例式を考えます  X= 100÷1 =100 この逆数 0.01グレイ毎時が線量率になります  たった10m離れると毎時10ミリに減ります。  これがガンマ線の性質です。実際には、これに空気による遮蔽も含まれるので、100mほど離れると、ほとんど影響がなくなるわけです。  この性質が測定にも大きく影響します。福島事故後、政府や自治体が行った空間線量の測定は、放射線の積もった地表から数十mも離れた場所での測定ですから、ほとんど無意味なものでした。またベータ線の飛距離は数メートル、アルファ線は数センチです。それ以上離れた場所で計測しても無意味と知っておいてください。 ところで、「光子数が距離の二乗に反比例して減少する」という法則は、線源が点と見なせる場合に限ります。点から周囲に球体状に放射されると考えるわけです。ところが、今回のセシウム降下汚染では大地が一様に汚染された面線源になっています。したがって距離の二乗反比例法則は地面や空間の線量計測には適用できません。地面全体がガンマ線源であって、この場合は幾何学的減衰は少なく、主に空気による減衰が適用されます。この計算は相当に難しいので省きます。セシウム137の0.66MeVガンマ線は、おおむね空気中を100mほど飛んで消えると覚えてください。汚染状況は千差万別なので、正確な線量率は現地での実測によって知るしかありません。 セシウム土壌汚染におけるガンマ線値は数メートル上空でも、わずかな減衰しかありません。点線源(密封線源)のような急速な減衰はないと覚えてください。